居場所をください。



「ま、いいじゃん。

台本ねーし。


最後にキスをすればいいだけだろ。」


長曽我部さんは俺らにすべてを託した。

普段通りの俺らでいいんだって。


「で、どうする?」


「って言われてもねぇ。逆に困るよ、台本ないの。」


「……………じゃあ俺がどうにかするよ。」


「お願いします!」


美鈴のMVだろ。

やりたいこととかねーのかよ、まったく。


「じゃあ始めまーす!」


「あ、美鈴と貴也。これ。」


長曽我部さんが俺らに指輪を出した。


「これつけるんですか?」


「美鈴の希望だからな。」


へぇ、美鈴の。

だから行きのバスでサイズ図ったのか。


「美鈴、手だして。」


俺は美鈴の指に指輪を通した。


「ふふ、小道具でも嬉しいや。」


「俺にはつけねーの?」


「つける!貸して。」


美鈴は俺に指輪を通した。


「お揃い~。」


ふーん、嬉しいんだ。


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