居場所をください。



「ねぇねぇ美鈴ちゃん。」


「はい。」


まだスープ食ってる美鈴に

母さんが話しかける。


「これ、あげる。」


そういって美鈴に指輪を差し出した。

母さんがいつもつけていた指輪だ。


「え…これは?」


「それね、貴也のお父さんが

結婚記念日に買ってくれた指輪なの。

お金がないのにね。

あんまりプレゼントとかくれる人じゃなかったけど

これだけは奮発して買ってくれたの。

お父さんが亡くなってからもずっと大事にしてたの。」


「だめですよ。それなら

ずっと持ってなきゃダメですよ。


私は指輪はいただけても、

その思い出はいただけまけんから。

いつか眠りにつく日まで

大事に持っていてください。」


………………美鈴…。


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