居場所をください。




撮影現場につき、長曽我部さんと一緒に車を降りた。


「長曽我部さんは?」


「俺も暇になったんだよ。」


「へー、珍しいね。」


長曽我部さんが暇なんてね。


教室につき、いつもの席で見学。

制服姿の貴也なんてなかなか見れないしね。


「長曽我部さん、コーヒー。」


「自分で行けよ。」


「佐藤さんはいつも持ってきてくれるもん。」


「甘えんな。動け。」


「……………はーい。」


結局自分でコーヒーをいれる。

長曽我部さんはどこまでも厳しいよね。

家だといれてくれるのに。


「つーか普通ドラマの撮影とか

見学ダメだけどな。」


「え、そうなの?」


「来ても追い返される。」


「邪魔だから?」


「それもあるし役者の気が散ったり

あとは人によってはスタッフが気使ったりするしな。

自分勝手で現場かきまわすやつもいるし。」


「なんで私はいいの?」


「邪魔にならないから。

美鈴は新人だから気つかうやつもいないし

スタッフにえらそうな態度もとらないだろ。

低姿勢だから受け入れてもらえる。」


「そりゃ見学させてもらってるからね。」


「その意識がタレントだと低いやつが多いんだよ。

それに美鈴がいた方が貴也の調子がいい。」


「え?」


「あいつはいつも完璧だけど

美鈴がいるとさらによくなるんだと。

監督がいってた。

だから時間あるときは連れてきて!

って頼まれたくらい。」


「へー…。」


私がいると、か。

私のお陰か。はは、嬉しいや。


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