居場所をください。



それからご飯を済ませた私たちは

いつも通り交代でお風呂に入り

私はブログを更新した。


「貴也のお母さんがブログに出てたら

なんか言われそうだね。」


「長曽我部さんが許可してくれたならいいんじゃね?」


「悪いように言われないかな?」


「言われねーんじゃね?」


だといいけどね…。


「…美鈴ってさ、辛いことがあったら

どうやって乗り越える?」


「えー、急に難しい質問だね。

私の考え方だけど

辛いことは幸せの前兆なんだって思ってる。

辛いことがあったからこそ

幸せに感じることがあると思うんだよね。

辛ければ辛いほど、些細なことでも

幸せに感じることができるでしょ?

虹だって、雨が降らなきゃ出ない。

辛いことのあとに待ってる幸せのために

今は踏ん張るときなんだって思うようにしてきた。」


「それで耐えられなくなりそうなときは?」


「小さな幸せを見つける。

空がきれいだとか

星がきれいだとか

咲いてる花がきれいだとか

今日のご飯がおいしいとか

長曽我部さんの機嫌がいいとか。」


「最後のは小さくないだろ。

あの人がご機嫌なのはよっぽどだよ。」


「はは、そうだね。

でもそんなことで幸せを見つけて

自分を奮い立たせる。


辛いことがあっても絶対いつか

笑えるときがくるから。」


私がそうだったから。


「だから逃げてちゃダメなんだよね。

とか言いながら私は前の生活が嫌で

ここに逃げてきたんだけど。」


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