居場所をください。
603…603…
エレベーターを待ってられなかった私は
階段をかけ上がった。
ピンポーン…
……………あれ…。
待って…え?
部屋について気づいた。
前までそこにあった"佐藤"の表札が
なくなっていたのだ。
……………引っ越した、とかじゃないよね?
私はインターホンを押し続けた。
何度押しても
ドアをガチャガチャしても
そのドアが開かれることはなかった。
「佐藤さんなら引っ越しましたよ。」
そう言ったのは602号室に入ろうとしたおばあさん。
「あ、あの!いつ頃…。」
「えぇ…と、6月末じゃないかなぁ。」
6月って…10日も前ってこと?
だから私の部屋に泊まってたの?
でも…服は?毎日どこかへ取りに行ってたから
帰りが遅かったの?
「ありがとうございました。」
私はおばあさんにお礼をいい
部屋へ戻った。