居場所をください。



案内されたのはいつもの

死角になっている席。


「俺とは全然飯行かねーのに

こいつとはよく来るな。」


「まぁ仕事の帰りだしな。

弘希は時間がなかなか合わないからなー。」


「それよりさっさと下がりなよ。

店員さん。」


「うるせーよ、おばさん。」


「……親の顔が見てみたいですね。」


「うるせーよ。」


と突っ込んだのは長曽我部さん。


「似た者親子だね。」


私がそういうと

弘希は黙って下がった。


「あれは弘希が…なに?」


「は?」


「さっき言いかけてたじゃん。」


「あぁ、弘希のやつ、美鈴の事気に入ったんだよ。」


「は?あれで?」


「本当は俺んちで朝飯も食ってく予定だったけど

美鈴の飯が気に入ったらしくて

わざわざ連れてったんだよ。」


「それ私の事じゃなくて

私の作ったご飯を気に入っただけじゃん。」


「でもどうでもいいやつのご飯なら

俺に美鈴の飯が食いたいなんて言わないだろ。

本当は美鈴の事気に入ってて

飯はこじつけじゃねーかなって。」


「……なんでそんな嬉しそうなの。」


「貴也やめて弘希にすりゃいーのに。」


「はぁ?何いってんの。」


「いいやつだし。」


「貴也だっていい人だよ。」


何考えてんの、この人。




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