居場所をください。
「貴也が戻ってきてくれたら
また少しは違うんだけどな。」
……………貴也か。
「あ、ごめん。
禁止ワードだったか。」
「ううん、いいよ。」
今、どこで何をしているんだろう。
ちゃんと生きてるのかな。
まだ実家にいるのかな。
佐藤さんは会ってるのかな……………
「……………気になる?」
「え?」
「急に黙ったから。」
「……………貴也は…」
「元気だよ。」
「……………そっか。
会ってる?」
「一応ね。
長曽我部さんが行けないときは俺が。
だからほぼ毎日かな。」
「そっか。
……………もう戻ってこないのかな…。」
「どうだろうね。
でもお金はいつか底を尽きるだろうし
今のままじゃだめだということは
本人も気づいているし
最近はちゃんとご飯も食べて
出歩くようにもなったよ。
人間らしくはなったかな。」
「そっか。」
「きっぱり引退宣言をした訳じゃないし
まだわかんないけどね。
どうなるのか、俺にもよくわからない。」
「信じてるよ。」
なにができるのかわからないから
私は信じることしかできない。