居場所をください。



一時間ほどでついた初日の会場。

そこは広い広い、ツアーの中でもっとも広い会場。


「…美鈴ちゃん、長曽我部さんとは

そういう関係じゃないんだよね?」


バスを降りるとハルが子犬のように聞いてきた。


「違うって。

私はもっと年齢近い方が好き。

佐藤さんとか瞬とかでもありえないし。」


「俺は?」


「1歳上なら全然範囲内。」


「そうなんだ!」


ハルももう少し落ち着けば

年上に見えるのにね。

なんかペットみたい。まさに犬。

かまってかまってー、って感じ。


そう考えたら隼也はねこだね。

かまってかまってー、ってときもあれば

うざがられるときもある。

まさに扱いにくいタイプだ。

前は全然そんなことなかったのにね。


そういえばハルは前の隼也みたい。

しばらくすればハルも隼也みたいになるのかな。


「美鈴ちゃん急に黙ってどうしたの?」


子犬みたいなハルが隣から聞いてきた。


「ハルのこと考えてた。」


犬みたいと考えてた、とは言えないけど。




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