居場所をください。
~♪~♪~♪
「あ、悪い。俺か。
ちょい止まるわ。」
路肩に車を止め、スマホを見ると
"着信 弘希"
「え、おい。弘希から。」
「え!?」
「もしもし?」
『あー俺。さっき電話した?』
「したわ!なにしてんだよ!
いまどこ!」
『バイト先に土産おいてきて
帰ろうとしたらスマホ忘れてることに気づいて
またバイト先もどってスマホとってから
駅向かったら電車が止まってて帰れなくて。
で、今は美鈴んちだけど。』
「え、美鈴んち…?」
でもあいつ、さっき部屋で寝てたよな…?
『母さんと鉢合わせすんのが嫌で
抜け出してきたっていってたけど。』
「は?なんであいつ知って……
それで?寝れてんの?」
『知らねーけど部屋には入った。』
「……そ。
今里美を車で送ってるけど
弘希も帰るか?」
『いや、俺は朝までここにいる。
あいつ、今日ちょっと変だし。
ちゃんと寝れてんのか気になるから。
つーことで父さんは朝まで来んなよ。』
「は、なんで?」
『ここには俺がいるから必要ないじゃん。
つーことで電話切るから。
じゃーな。』
「え、おい!ちょ……
……………切れたし。」
勝手に切んなよ。
俺がいるから必要ないってなんだよ。
俺の妹なんだけど。