居場所をください。
━━━━━━━━━━━━━━・・・・
「おはよう!」
「おう、おはよう。
元気だな。」
「もう貴也がムカつくんだもん。」
私はサングラスをしたまま
長曽我部さんの助手席へと座った。
車の中は冷房も効いていて
ブランケットもある心配り。
できる男は違うね。
「なに、ケンカ?」
「そういうわけじゃないけど
昨日ご飯つくって待ってたのに
外で食べてきて夕飯無駄になるし
それを朝に回したらそんなに食えないとか
あんま美味しくないみたいなこともいうし
余ったからお弁当作ればいらないの一言だし
今日泊まりだって言いたかったのに勝手に行くし
むかついたから部屋汚いまま出てきた。
スマホの電源も切ってやる。」
「まぁ一緒に住むと嫌なところとか
けっこう出てくるもんなんだよ。
みんなそんなもん。」
「なんか色々ほんとムカつく。
ご飯だって無駄になったし。
"いただきます"と"ごちそうさま"に
全然気持ちこもってない。」
「まぁそういうのも
富士山登って下界を見ると
ばかばかしくなるって。」