居場所をください。



それから真っ暗な富士山を

また必死に登った。


真っ暗、と言っても人がたくさんいるから

全然怖くない。



それから一時間かけて八合目、

そしてまた一時間かけて九合目、というペースで

休憩を挟みながら登ってきたけど……


「あそこなのに……あと少しなのに……

遠い……」


あと少しが本当にきつい。

急に厳しくなった。


疲労もあって、本当に辛い。

言葉もでない。


"辛い"、"疲れた"が

ひたすら頭の中でぐるぐるしている。


「休むか?」


「……ううん…間に合わなくなるから

ゆっくりでも…進む……。」


空気も薄くて息が上がる。

いっぱい吸わなきゃ苦しい……


…………頑張らなきゃね。

一歩一歩、少しずつでもいいから

ちゃんと進まなきゃ。


立ち止まってる時間はないよね。




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