居場所をください。
ガチャ
どうか、靴がありませんように。
そう願った思いは虚しく
貴也の靴はしっかり入っていた。
カチャー
貴也が帰ってることを確認して
靴箱を閉めたところに
リビングのドアが開いた。
「どこにいってた」
それはそれはいつも以上に
不機嫌な貴也さんが立っていて……
「えーと…」
「誰とどこに行ってた?
家事もほったらかして無断外泊かよ。」
「……貴也が悪いんじゃん。」
一方的にキレられたから
私は靴も脱がずにそのまま逆ギレした。
「は?」
「なんにも言わないのはそっちの方でしょ?
勝手にご飯食べてきてお風呂も入ってきて
こっちは準備して待ってたのに。
出掛けることだって、泊まってくることだって
言おうとしたのに聞かなかったのは貴也じゃん。
勝手なことばっか言わないでよ。」