居場所をください。
「すみません、こんなことは聞きたくないんですが」
じゃあ聞くなよ。
「赤堀さんは、松野くんに別の好きな人が
前からいて、その人が忘れられなくて別れた
と言っていたんですが、
その好きな人が五十嵐さんなのではないですか?」
………赤堀さん、また勝手に喋ったのか…
「すみませんが、そういう質問は避けてください。」
と佐藤さんが止めようとしたけど
「そうです。」
貴也は素直に答えた。
「憶測の通りです。
俺は美鈴がデビューするずっと前から
美鈴のことが好きです。」
「ちょ、貴也…」
「いいよ、本当のことだし。
なんか、俺もう嘘つくのやだし。」
そういう貴也は
思いっきり作られた貴也だったけど。
「沙耶香には本当に申し訳ないことをしましたけど
俺は本気で美鈴が好きだから交際を申し込んだし
中途半端な気持ちで一緒に住んでる訳じゃないので。」
貴也の顔からは笑顔はもう消えてて
真剣な表情でそういった。