居場所をください。
「あ、そうだ。
これから施設に帰るの。
乗せてってよ。」
「俺仕事の途中なんだけど。」
「いいじゃん。
すぐそこだよ。」
「なら歩けよ。」
「歩くには遠い。
行こ。」
「どんだけ強引なんだよ。」
私は長曽我部さんの腕を引っ張って
駐車場に向かった。
「そういえばオーディションやってるんでしょ?」
「あぁ、やってるよ。」
「歌うまい子がいるって聞いた~。」
「あぁ、いるな。」
「隼也に負けないように気を付けろ
って言われた。」
「そうだなー。同じ事務所だと
どうしても比べられるからな。
美鈴の1つ下だし、ギャルっぽいし。
でも美鈴とは違う。
美鈴の声の良さと、
客を引き付ける歌い方は
きっと負けねーよ。今の美鈴なら。」
「ほんと?」
「歌詞がもう少し深みが出たら
もっといいんだけどなー。」
「それは難しい。」