居場所をください。



駅までは他愛のない話をして、

10分ほどで駅へとついた。


「美鈴が歩くなんて珍しいな。」


「いいじゃん。

それに電車にも乗りたいし。たまには。」


「はぁ?お前それで電車乗る気かよ。

渋谷まで歩けばいいだろ、」


「やだ。15分くらいかかるもん。」


「一駅じゃねーか…」


「電車に乗りたいの。

私もそういう普通のことがしたい。

前までは電車に乗ってたんだから

別にいいでしょ?」


「……わかったよ。

でも俺と二人でいるとこ見られて

変な噂たったらどうすんだよ。」


「大丈夫だよ。事実じゃないもん。

今日だってさ、貴也の記事が出たけど

全然大丈夫だし。」


「だからだよ。

彼氏が他の女と会って美鈴が俺と会ってたら

実は仲が悪いみたいに思われるかもだろ。」


「あぁ、もうそういうめんどくさいのはいいの。

事実じゃないじゃん。

私は高橋とだって会いたいの。

芸能人だからって好きなものを削りたくないの。」


「おまっ……そういう誤解招くようなこと

平然と言うなよな!」


「………高橋こそ、なに照れてんの。」


なーに、顔赤くしてんの。

似合ってないって。

そんな顔、私に向けないでよね。

そっちのが誤解されるって。


「う、うるせーよ!

お前がらしくねーこというからだろ!!」


「声のボリュームが大きい。」


「急にいつも通りに戻ったな……」



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