居場所をください。



なんだか高橋のお陰で

やっぱり少しはスッキリした。


こんな汚い世界もきれいに見えるくらい。

星も見えない空が少しだけ輝いて見えた。


「送ってくれてありがと。」


そんなこんなで

もうマンション前だった。


「おう、いいよ。

やっぱつけられなくなったな。」


「もう飽きたんだって。

じゃーね、また。

今日は高橋でよかったよ。」


「なにが?」


「話したのが。」


「そ。

まぁなんせ俺は美鈴の

大親友だからな。」


「えー。」


「文句あんのかよ。」


「………じゃあ高橋の中でも

私を一番にしといて。

友達の中で。」


「欲張りなやつ。」


そんなこという高橋だけど

顔は微笑んでて優しくて

ちょっと嬉しそうだった。


「じゃな。

また来月飯行こうな。」


「うん!

10月20日らへんで。」


「おう。

開けとけよー?」


「高橋もね。

勉強煮詰まりすぎないように。」


「美鈴も仕事頑張りすぎんなよ。

あ、あと彼氏によろしくー。」


「はいはい。

じゃあね。」


「おう。」


高橋は私が中に入るまで

エントランス外で私を見ていた。

私がエレベーターに乗る瞬間まで。


彼氏か。

と突っ込みたくなる。



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