居場所をください。
私は急いで荷物を持ち、
佐藤さんのところへ向かうと
佐藤さんは誰かと話していた。
「お待たせしました。」
売れてないだけで、
先輩だったら申し訳ないから
私は控えめに声をかけた。
「美鈴さん!!」
「え?」
佐藤さんと仲良く話していた女の子は
私に"さん"付けをした。
「美鈴ちゃん、新しく入った
九条小春ちゃん。歌の子だよ。」
「あー、うわさの…」
歌のうまい子。
「小春です!小春って呼んでください!
私、美鈴さんの大ファンで!!
会えて感動です!」
「あ、ありがとう」
小春ちゃんは見た目ギャル。
正統派ギャルというのか……
「小春ちゃんはローマ字で
KOHARUでデビューするよ。」
「へー、そうなんだ。
小春ちゃん歌うまいらしいから
早く聴いてみたいな。」
「い、いやいやいや!!
美鈴さんの前でなんて下手くそすぎて無理です!」
「あはは、そんなことないでしょ。
長曽我部さんも上手だって言ってたし
それって相当だよ。
私なんてぜんっぜん誉められないよ。
だから自信もって。」
「ありがとうございます!!」
「美鈴ちゃん、そろそろ…」
「あー、待って待って。
ね、写メいい?ブログ用なんだけど」
「え!私ですか!?
私なんかでよければもちろん!!」
どこまでも元気な子だなぁ。
「はい、佐藤さん。」
「はいはい。
撮るよー」