居場所をください。
宣伝が終わり、本番も終わった。
「お疲れさまでしたー」
そんな声が聞こえる中、
私は貴也に手を差し伸べた。
「ちょーだい。」
「……こんなんでよければやるよ。
ほらよ。」
そういって私の手にCDをのせ、
先にスタジオを出た。
「……ちょ、待ってよ!」
私はCD片手に貴也を追いかけた。
「じゃあさ、Bestfriendは貴也が歌ったの?」
「俺じゃねーよ。
あれは女だしな。」
「貴也は知ってる?」
「いや、誰も知らないんじゃない?」
「ふーん、そっか。」
そう言いながら楽屋に入り、
とりあえずCDを開けた。
「え!空じゃん!」
CDどころか歌詞カードすらない。
「そりゃ宣伝用だしな。
つーか美鈴のもそうだと思うけど。」
貴也がそういうから、
私のも開けてみると中は空だった。
「……知らなかった。」
「まぁ芸歴短いしな。」
「え、じゃあサンプルとかくれないの?」
「え、美鈴は買ってくれるんじゃねーの?
俺は買ってんのに。」
……そうでした。
「じゃあ今度一緒に買いに行こ!」