居場所をください。



「…ごめんね、いろいろ」


「なにが?なに謝ってんだよ。」


「いろいろ、私のせいで。

離婚になったのだって

長曽我部さんがずっと忙しかったのだって…

………聞いたよ。再婚する理由。

弘希の学費のこともあるらしいけど

長曽我部さんの仕事が落ち着くからなんでしょ?

私から外れるからなんでしょ?

ずっと私のせいで仕事ばっかにしてごめんね。

でもやっと解放されるんだし

今度からは家族との時間、大切にしてね。」


私は下を向いたまま、空笑いして

そう伝えた。


「私には貴也もいるし

佐藤さんと、新しいマネージャーさんと頑張るし

もう私に気にかけなくていいから。

長曽我部さんは、長曽我部さんの

幸せだけを考えて生きなよ、ね。」


最後は目を合わせて、

私は立ち上がって外に出た。


「美鈴!!」


ちょうどそこに貴也が来た。


「…はは、貴也と高橋か。

変な組み合わせ。」


「…………大丈夫か?」


「うん、なにもされなかったから。

…………帰ろ。」


もう振り返らない。

私は先に、貴也の車へと歩き出した。


もうこれ以上、長曽我部さんを

縛り付けておくのは、イヤだ。


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