居場所をください。



それから亜樹の部屋のドアを開けると

ベッドの上で美鈴が眠っていた。


俺は美鈴に近づき、ベッドの横に膝をついた。


「…誰も美鈴を責めてねーよ」


頭をなで、そう言い

俺は美鈴の鞄をあさって、

キーケースを取り出した。


俺があげたキーケースに

俺んちの鍵を戻し、

枕元へと置いた。


「いつでも来いよ。」


また頭を撫で、俺は部屋を出た。


「………帰るわ。」


「うん。」


「美鈴の頼むわ。」


「はは、言われなくても。」


「…じゃ。」


仕方なく、俺は手ぶらで大和の車へ戻った。


「あれ、美鈴ちゃんは?」


「置いてくことにした。」


「なんだよ、なら帰ればよかったわ。」


「ったく、どんな性格してんだよ。」


「さすがひかるの友達だろ。」


「…………とりあえず帰るわ。」


「車は?どうすんの?」


「あとで取りいく。」


「んじゃマンションに送るわ。」



< 3,727 / 4,523 >

この作品をシェア

pagetop