居場所をください。

「美鈴、お疲れ。」


撮影が終わるとすぐ

私のもとへ長曽我部さんがきた。


「うん。」


「この人、美鈴の新しい

チーフマネージャーの

上田暁子（うえだ あきこ）だ。」


長曽我部さんはそういって

隣に女の人を立たせた。


「…チーフマネージャー…」


この人か…長曽我部さんのあとは。


「よろしくね、五十嵐さん。

長曽我部さんのあとだから

いろいろ未熟なことはあるかもしれないけど。」


そう優しく微笑む上田さんは

30代なかば…？くらいの

小柄な人だった。


「いえ…

こちらこそ、よろしくお願いします。」


「上田さんは前まで

鈴木弘明さんを担当してた

バリバリのベテランだから。

未熟なところなんてたぶんないし

頑張れよ。」


鈴木弘明さん、ってたしか

ロック歌手で…去年、闘病生活に幕を閉じた

あのおじいちゃん歌手だよね…？


あんな厳しそうな人についてたのかぁ…


「私、五十嵐さんの歌とか志が

とっても好きなの。

だから私から希望したくらい

あなたのことが知りたかったんだ。

私はチーフマネだし、あんまり会うことはないけど

一緒に頑張りましょうね。」


「はい。」