居場所をください。



『昨日もパソコンとファイル広げて

かなり唸ってましたしね。

時間がないー!って。』


いや、だから笑うところではない。

時間が足りないんだよ、切実に。


『それ見てると俺役者でよかったなって

なんか思いますよ。

休みの日にまで仕事してますからね、美鈴。

歌詞の締め切りに追われて。』


おーい。そういうことは

言っちゃダメなんだって~。

ファンの子たちがなんて思うか怖いじゃないか。


『やっぱりそういう努力があってこその

五十嵐さんの人気なんですね。』


『そうですね。

少しは休めばいいのにって思うほど

働き者ですよ。』


……だって、やらないと

このポジションがすぐに誰かにとられそうで…

きっと、芸能人なら誰でも思うよ。

休んでたらすぐに取られちゃう、って。

代わりなんて、たくさんいるんだから。


『えー、松野さんが

どれだけ五十嵐さんのことが好きか

わかったところで、ですね』


おう、聞き出してたのか。

そういう台本だったのか。

だからわざわざ私に見ろ、って言ったのか。


『実は松野さんに会わせたい人がいるんです。』


『会わせたい人?』


会わせたい人?



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