居場所をください。
「撮影どうだった?」
局の廊下を、めちゃくちゃ早く歩く佐藤さんに
ちょっと必死についてく私に
平然と佐藤さんは聞いてくるけど
足の長さが違う私からしたら
そんなことをのんきに答える
余裕なんてないのだけれど。
…まぁ、佐藤さんには言えないけどさ。
これが長曽我部さんなら
もっとゆっくり歩けとか
文句も言えるのにね……
「…あー、うん。
すっごい気持ちよかった。
オーケストラの生演奏だもん。」
リハーサルというものすらなかった。
歌なんて、ぶっつけ本番で
それでも一発OKだったけど
オーケストラのレベルも高くて
本当に本当に気持ちよく歌えた。
誰が調達したのかわからないけど
でも、なにもしらない長曽我部さんだけは違う。
「……あの人たち、誰が決めたの?」
「ん?そりゃマネージャーで相談して。
結局俺が決めたんだけどね。
あの曲を使うようにディレクターに
お願いしたのも俺だし
俺に感謝してよね。」
「あー、もうだいすきです。はい。」
「はいはい、ありがとう。」
……でも、
長曽我部さんがいなくたって
私のことをよくわかってくれる
マネージャーはここにもいる。
もっともっと
距離が縮んでいけばいいのにね。