居場所をください。



━━バンっ!


「遅れてすみません!」


思いっきりドアを開け、

私は頭を深く下げた。


「今何時だと思ってんだ。」


「今10時7分で…」


……って、え?

え?この声……


「新年早々遅刻なんて

いい度胸してんな。」


「え…なんでここに…」


「早く座れ。打ち合わせ始める。」


「なんで長曽我部さんがここにいるの!?」


なんで?だって私のマネージャーは

年末までだって……


「おはよ、美鈴ちゃん。

一昨日渡した紙、ちゃんと読まなかったの?

長曽我部さんはこのツアーのプロデューサー。

去年同様、このツアーは

長曽我部さんと美鈴ちゃんがプロデュース

していくんだよ。」


「プロデューサー?

……そんなのいたの?」


「いるよー。

美鈴ちゃんがデビューしてから

長曽我部さんはずっと

美鈴ちゃんのプロデュースしてたじゃん。

新曲のジャケ写だって

何候補かあった中、美鈴ちゃんが選んだのは

長曽我部さんデザインのだったしね。」


「え、そうなの!?」


「そうだよ。

だから早く座りなよ。

長曽我部さんが爆発する前に。」


そういって、佐藤さんは私の前の席に座った。

……にしても、長曽我部さんがプロデューサー…

私の、プロデューサー…


ってことは、今年もまた

長曽我部さんと一緒に全国回れるんだ……


< 4,366 / 4,523 >

この作品をシェア

pagetop