居場所をください。



「大丈夫ですよ。

俺、公務員じゃなくて教師になるんですから。」


でも、俺の中での将来設計なんて

まだ立てたくなんかないから。


「俺も美鈴についていきますよ。

そうすれば、俺の語学力も

ちゃんとついていく気がするんで。

俺、英語だけは自信あるんですよ。」


「…そっか、よかった。

じゃあ来年の頼むよ。」


「はい。」


「でも高橋、公務員じゃなくて教師に、って

別に言い換えなさくてもよくない?」


「美鈴はバカだからなー」


「高橋にだけは言われたくない。」


「美鈴、あのな

教師=公務員ってわけじゃないだろ。

高橋くんが目指すのは高校教員。

だったら私立の可能性だって高いだろ。

公務員になるためには

国公立の教師になる必要がある。

私立の教師なら公務員でもないんだよ。」


「あー、そっか。確かに。

でも公務員のが安定じゃない?」


「まぁ俺も少し前まではそう思ってたんだけどな」


でも、美鈴を見てて思ったんだよ。

そんな安定な世界にいるより

いつ見放されるかわからない世界にいた方が

ずっと、必死になれる気がするんだって。

安全地帯なんていらない。

俺も、俺の可能性にかけてみたくなったんだよ。


「ま、私立で英語教師になるって決めたから

美鈴についてって、向こうのファンと話して

俺も英語力つけようかなって魂胆な。」


「あそ。」


うわ、興味なしか。こいつは。



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