居場所をください。



「でもさ、美鈴は

俺にだけ見せる一面もあれば

長曽我部さんだけに見せる一面もあって

だから当然瑠樹だけに見せる一面もあってさ

元々瑠樹に見せてる顔が美鈴の当たり前で

その当たり前が変わったことに

美鈴自身も違和感があるっぽい。

でも俺はそれもいいと思うっつーか

瑠樹も嫌じゃね?

自分だけが知ってる一面を他のやつが知るの。」


「……まぁ…確かに。」


「それなのに瑠樹ってみんなに同じ対応だから

美鈴はそれが寂しいんじゃねーかな

なんて俺は思ってる。

もしくは彼女だけが特別とか。

美鈴って最近その特別感ほしがるようになったから。」


「あいつ…望みが贅沢になったな。」


「ま、それくらいいいんじゃね?

俺も長曽我部さんも

美鈴だけに見せる一面があるのに

瑠樹だけがない上に最近飯も行かないとなれば

美鈴も寂しくなるだろ。」


「……なるほどな。」


じゃあ、ダメもとでもまた飯誘ってみるか。

行ける行けないなんて、関係ないもんな。


「…ま、俺も舞台がまだ終わらなくて

家空けることも多いから

飯行くくらいはいいんだけどさ

……俺がいないときに部屋に上がったりすんなよ。」


へ?

……こいつ、本当に美鈴にベタ惚れなんだな…


「……貴也のその顔を見れるのも

俺だけってことかな。」


「…るせぇよ。」


「なんてったって俺と貴也は美鈴にとって

同じくらいだいすきな相手みたいだし?」


「つってもDAISUKIのメインは俺宛で

瑠樹はカップリングだけどな。」


「仕事の都合だろ。

……でも、今回は俺宛のCDなんだから

俺のが勝ちじゃね?」


「アホか。去年の夏は俺宛にあったわ。」


……って、俺ら

なにくだらないことで争ってんだか……



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