居場所をください。



「お前ら、話し終わったんなら海行けよ。

ここは俺が見てるから。」


うわ、長曽我部さん起きてたのか。


「そうっすね。

瑠樹、行くか。」


「そだな。

じゃあ頼みます。」


「ちなみに」


俺らがやっと立ち上がると

長曽我部さんは体をあげて俺らを見た。


「俺宛の曲はもう3曲だから。」


「「・・・。」」


……知ってるよ。

美鈴にとって、あんたが一番だよ。


「……じゃあ、お先に。」


美鈴が大好きな長曽我部さんは放っておいて

俺らも海へと歩き出した。


……にしてもだよ。

なんでこいつ、こんな細いくせに

ちゃっかり筋肉ついてんの?

俺…完全に負けてる。

なんだこれ。

いや、俺が普通なんだとは思うんだけどさ。


「なに満てんだよ。」


「いや、別に。」


……俺も鍛えよっかな。

じゃないと美鈴にも負けてる気がする。

腹筋あたりとか…


「あ、二人ともこっち~!」


「声でかいわ。」


浮き輪に掴まり、波で遊ぶ美鈴が

すげーガキに見えてくる。

こいつのこういう姿、見たことがないからかな。



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