居場所をください。
「……………星菜はあなたを産んで
しばらくしてガンで亡くなったわ。。
わかってすぐ手術が決まったんだけど
治療でしばらく育てられなくなるからって
1度私と兄のところに相談にきたの。
でもその話を義姉…兄の奥さんに聞かれて…
それで私も、あなたを引き取ることができなかったの。
だから治療の間だけでも、と
あなたをあの施設に預けたみたいなの。
でも…星菜の腫瘍は転移していて、
2年後に亡くなったわ。」
「……………そうなんですね…。」
「ここ、お墓の場所だから…。」
そういって私に地図と住所とお墓の場所を書いた紙を渡した。
「……………私の父には会うことはできないのでしょうか。」
「それはわからない。
ごめんね。本人に聞いてみないと…」
「そうですか…。
あの、お名前だけでも。」
「兄の名前は
長曽我部武。」
「……………え?」
「長曽我部武。
兄には一人の息子がいて、
その子供の名前は「長曽我部ひかる、ですか?」
「え?」
「……………ありがとうございました!」
私はコーヒー代をおいて走り出したんだ。