居場所をください。



「案外、親離れなんて早いのかもな」


「・・・そんなもんなのかなぁ」


車に乗っても、美鈴の顔は寂しいまま。
まぁ、確かに碧翔も飛鳥も保育園に行くときに泣いたりもしない。
朝陽も今ではママより友達や好きな女の子。

まだ小さいから、親離れとまではいかないけど、でも


いまだに長曽我部さん離れできていない美鈴からしたら、今の状況すら早すぎて追い付けていないのかもしれない。


もう25歳なんだけどな。
相変わらず過ぎるわ。


「そういや美鈴、明日は仕事?」


「あ、言い忘れてたんだけど
明日休みで長曽我部さんと泊まりで出掛けてくるから」


「は?泊まり?なんで?」


「なんか里美さんが友達と旅行に行ってるみたいで、弘希も今仕事が忙しいとかで
せっかくの休みに家にいるのももったいないとかで誘われたんだよ。」


「子供たちは?」


「え?あれ、知らない?明日お泊まり保育なんだよ。
咲空はないけど、ママにもうお願いしてあるよ。」


「・・・ってことは、俺だけ?」


「えー?だって長曽我部さんが貴也は明日仕事で帰らないか、帰ってきても深夜だって行ってたよ?
まぁ佐藤さんから聞いた訳じゃないから具体的には知らないけど。

だから長曽我部さんが誘ってきたんじゃん。」


え、あれ?明日なんかあったっけ…?
地方ロケ?公演?はないか。

やべ、明日何時だ?俺。


「とにかく、明日から一泊で出掛けてくるよ。
明後日のお昼には朝陽たち帰ってくるからそれまでには家にいるけどね」


「にしても、長曽我部さんと泊まりは珍しいな?」


「あー、たぶんそれは私がアルバムの歌詞がけっこうやばいからだよ。
恐らく缶詰にして書かせる気だよ。」


・・・鬼か。
結局仕事な。マネージャーでもねぇのによくやるわ…


「来年10周年だし、MVやライブのイメージなんかもあるかな長曽我部さんも知っときたいみたいだし
とにかく私、咲空が生まれてからまだ今回の曲しか書いてないからね。

余裕もっと始めたはずなのにさ。

歌詞も遅いのにメロディはもっと遅いし。」


……やっぱ大変だな、歌手は。
全部自分で決めてかなきゃいけないんだもんな。



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