居場所をください。
「………だから、これ以上私のことを言って
親なき子たちを傷つけないでください。」
私がそういうとCMに入った。
「美鈴、よかった。」
スタジオで見ていた長曽我部さんが言った。
「ふふ、本音いっただけ。」
あとはCDの宣伝だね。
あと少し、頑張ろ。
「CMあけまーす!」
よしっ。
「いやー、まだ16歳でしょう?
しっかりしてるねぇ。」
本番始まってすぐ司会者がいった。
「施設にいる子はみんなそうですよ。
親に甘えられませんから。」
逆に甘え方がわからないくらいだ。
「そのネックレスはお母さんの手がかりだとお聞きしましたが。」
「あ、そうです。
母が置いていったものです。」
「じゃあそのネックレスを見て
お母さんが連絡してくるかもしれませんね。」
「……………そうですね。」
「なにかメッセージがあればどうぞ。」
「……………私にも居場所が見つかりました。」
だから、安心してね。
「居場所、ですか?」
「はい。
私はもう大丈夫、という意味です。」
「そうですか。
そういえばデビューシングルがオリコン一位だとか。」
「あ、はい。
ありがたいことに…みなさんありがとうございます。」
「どんな曲なんですか?」
「私もスタートラインに立てたので
その意気込みですね。
明るい曲に仕上がっています。
For youです。」
「作詞は五十嵐さんがされたんですよね?」
「そうです。私の本音を詰め込んでいるので
ぜひ!聴いてみてくださいね。」