居場所をください。
「次はどんなMVなわけ?」
「すっごい甘々。
にやけそうになるよ、本当。
私が照れまくっててもはや演技になってないけど
監督はそれがいいらしくて。」
「台本見せて。」
「うん。
……………はい、これ。」
私が渡すと貴也は中身を真剣に見ていた。
「隼也と2回目のキスシーンな。」
「あー、うん。そうだね。」
「美鈴も仕事でキスする女になったか。」
「言い方悪いよ。
しかも貴也もでしょ。
いったい何回キスしてるんだか。」
「まーそうだけど。」
「しかも私キスシーンはあるけど
隼也とキスしたことないし。」
「は?」
「前回も稽古でも隼也は寸止めだよ。」
「……………へぇ。」
「私、この前やっと貴也のキスシーン見たよ。」
「見なくていいわ。」
「がっつり唇重ねてたね。」
「うるせーよ。」
「照れたりしないの?」
「好きじゃねーから簡単にできるんだよ。
好きなら仕事でも躊躇する。」
「へぇ…。」
そういうものなのか。
まぁそうだろうな。
MVも隼也じゃなくて貴也なら
私はきっとNGを出しまくってるだろうな。
キスシーンなんて後ずさりしてしまうかもしれない。