居場所をください。
しばらくして学校へついた。
「終わる頃俺が迎え来るな。
隼也も乗ってけばいいし。」
「さんきゅ。俺夕方から仕事だったから助かる。」
「美鈴も夕方から打ち合わせあるからな。」
「はーい。」
私たちは一緒に車を降りた。
「美鈴、俺に敬語じゃなくていいから。
タメだし。」
「あ、うん。」
「一学年一クラスだから俺ら自動的にクラスメイト。
よろしくな。」
「うん。よろしくね。」
「なんで歌手になろうと思ったわけ?
最初断ってたんだろ?」
「そんなことまで聞いたの?
理由は話すと長くなるから追々。」
もう学校だし。
「それよりここ、どんなとこ?」
「他の学校にはないピリピリ感があるな。
売れてないやつは毎日来てたり。
俺なんか先輩より先に売れたから
すっげー睨まれるしな。
たぶん、美鈴も、
長曽我部さんに拾われて、
デビューもあっさり決まったろ。
デビューがなかなか決まらないやつもいるのに。」
「え、そうなの?」
「レッスンばっかりでデビューできないやつ
たくさんいるよ。実力の世界だしな。
で、美鈴は噂にもなってるし。
にこにこ近づいてきても、本心は
友達なんかなろうと思ってないやつもいるし
あんま早くから信用しない方がいい。」
「隼也君も?」
「俺はジャンル違うし。しかも売れてるしな。
そもそも敵対心ない。
どんな歌声なのかは気になるけど。」
「普通だよ。」