未来が見えない『Previously invisible』
琴音‥‥side

琴音は、樹から離れて
二ヶ月が、過ぎた。

大雅や弦‥‥月紫が
気になるが、どうしていいのか
わからずにいた。

樹‥‥ちゃんと、仕事してるかな
また、自暴自棄になってないかな

色々考えては
溜め息をついていた。

泉先生は、大学に出向いたり
ピアノのリサイタルをしたり
毎日、忙がしそうにしていたが

ある日、
「琴音、そろそろ話してご覧。
貴方は、昔から
どうにもならないと
私の所に逃げて来る子だった。

両親の愛情が乏しく
両親に甘えることも
信じることもできず
弟のためだけに
頑張っていたわ。
そんな、あなたに
なにが、あったの?」
と、言われた。

そう、私は、自分の親より
泉先生を慕い、信頼していた。

私は、自分の今までを
全て、話した。
先生は、泣きながら話す私の
背中を擦りながら
黙って聞いてくれた。

話し終わった時
先生の目からは、涙が溢れていた。

「琴音、辛かったね。
何も、知らなくてごめんね。
でも、わかっているんだろう。
自分が、どうしたいのか?
どうありたいのか?
琴音の思うように
しなさい。

私は、いつでも、琴音のそばにいるよ。」
と、言ってくれた。

「先生、ありがとうございます。
もう、少しだけ、先生の元に
置いてください。」
と、言うと
先生は、ニッコリ
笑ってくれた。
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