香りから始まる恋はいかがですか?

『ふおぉ!?
まさに、これこれ!
この殿方、大正解ー!

おめでとうございます、
さすが夏さん
お見事です!』

と心のなかで、
大賛辞を受けていると

自然と頬は緩み、
小さくガッツポーズまで
決めていました。

我を忘れて、
探し当てたことへの嬉しさで
幸せに満ち溢れていると

どこからか、

「おいっ」と男性の声。

その後も2度ほど、
同じ言葉を
発していたようですが、

わたしは、
自分の世界に入り込み
抜け出せずにいると、

電車はどこかの駅に到着し、
プシューと音をたて
ドアが開きました。

それと同時にわたしは
右の二の腕付近を捕らえられ
駅のホームに
引きづりおろされました。

自分が
降りる駅ではなかったのと
突然の出来事になすがまま、
されるがままでした。

するとようやく自分が
誰かに腕を掴まれ電車を
降ろされたことに気がつき、

腕を掴んでいる相手を見上げると
そこには少し不機嫌そうな
あの香りの持ち主さんが。

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