香りから始まる恋はいかがですか?
俺の吐き気とけじめ


俺は、
初めて夏に嘘をついた。

会社の飲み会と言い、
取引先の会社の渡辺部長と
半ば無理やり
飲みに行く約束をさせられた。

正直、
飲みになんて行きたくない、
彼女の作ってくれたご飯を
一緒に食べたい・・・

夏とくっついて、
いっぱいキスして、
イチャイチャしたい。

と思いつつ・・・

俺は、
少し高そうな料亭の
個室に案内されると、
中には
1人の女性が待っていた。

その光景を見た瞬間に
ハメられた、
即座にと判断した。

こんなことなら
さっさと断っとくべきだった、
と思ったが、
相手は取引先の会社の人間だ
ということもあり
邪気にできずにいた。

案の定、
その女性は渡辺部長の娘で
史子と名乗った。

鼻につく香水を振りまき、
年は、おれより5つも年上で、
『若作り』といった言葉が
ピッタリのミニスカートに
体のラインがはっきりしている
洋服を身に着けていた。

この時点で、食欲は失せ
さんざん2人の話を
聞かされ、うんざりしていた。
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