香りから始まる恋はいかがですか?


やはり今朝も同じ時間の
電車に乗っていたポチ。

ポチもとい、
あの背がちっちゃい
鼻をヒクヒクさせてた女。

もう俺の中では、ポチ、
名前も知らないから、そう呼ぶ。

見た感じ、
理系の大学の研究室で
教授の助手をしてます!
ってイメージで、
色気もなにもない。

あっ、でも・・・
ちょっと胸はありそうだ。

今朝も匂いを探し当てる
ゲームでもすんのかと
観察してると、

どうやら今日は眠そうに
立ったまま、

うつらうつらしてる。

器用な奴だ、と思うと同時に
なぜか、ポチを庇う態勢をとり、
ちょっとしたイタズラ心から、

ポチの耳元で
『おはよう』と囁いてみた。

すると
眠気は一気に覚めたようで
顔だけ振り向き

『ラブ』と一言。

俺の中で瞬時に

『ラブ=love?』となり

思わず自惚れ

『惚れたのか』
聞いてみると

『ハレンチー』と叫ばれ

慌ててポチの口を塞いだ。

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