香りから始まる恋はいかがですか?


安藤の家に到着すると
さっちゃんが玄関まできて
出迎えてくれた。

聞くと、
夏は仕事から帰って来て、
夕飯の支度をしているらしい。

安藤は、着替えるため
寝室に向かい、俺だけが
ダイニングに通されると

キッチンには、夏が立っていた。

ずっと夏に逢いたかったんだ、
そんな彼女が、いま目の前にいる。

それだけで
胸が熱くなってきた。

彼女は、
俺を安藤と勘違いしたのか、
こちらに視線を向け、

「安藤さん、おつかれ・・・」
と言いかけて、彼女は、
俺を呆然と見つめていた。

動かしていた手を止めて
何も言葉が出てこない。

そんな彼女を見て俺は

「夏、今回のこと、
本当に申し訳なかった。

俺が悪かったんだ。ごめんなさい」
と頭を下げた。

すると寝室の方から
安藤とさっちゃんが来て

「そんなとこで謝っても
ダメだろ、ほら、席につけ。
なっちゃんも少し
手を止めて、こっちおいで。」

と安藤に促され、いつかのように
4人で向き合うように席についた。
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