香りから始まる恋はいかがですか?

俺は、これほどまでに
女と連絡先を
交換しなかったことを
悔やんだことはない。

今朝の電車にも
夏は乗っていなかった。

なんで見つけられない?

俺を避けてんのか?
だったら、
その理由教えろよ。

俺、
なんかひどいことしたか?
だったら、その理由教えろよ。

いまは
相手の連絡先がわからないと、
連絡手段がないと

どうにもならない
世の中なんだな・・・
と改めて思い知らされる。

そんな落胆気味の俺に
陽気な安藤が

「おはよう、あれから
なっちゃんに逢えたか?」

と俺の胸を
グリグリえぐってくる。

「逢えねーよ、昨日も今日も」

「マジかー?お前、
避けられてんじゃないのか?」

「それ、言うな。
自分でも思ったんだから」

「あららー。モテ男が
いきなりフラれた?」

「うっせー!絶対みつける」

「おぉ!熱いねー」

と、
さんざん冷やかされたが、
そんなことも耳に入らず
どうやって夏を捕まえようか

考えていた。


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