婚約者は高校生
「ところで…俺の彼女の話はどこで聞いたんだ?」
「今日、女子社員の方たちが噂してましたけど」
つまり「今日」ということは昨日までそんな話はなかったってことだな。
それにしても、噂か。
いったい何を根拠にそんなことが広まったんだか。
「どんな噂だ?」
聞くと彼女は首を傾げてこちらを見た。
「え?知っているんじゃないですか?」
「噂というものは渦中の人物にはなかなか伝わらないものだ。周りが騒がしいだけで内容がまったく伝わってこない」
今回の噂は仕事には特に影響はなさそうだがな。
しかし、自分の話をされているのにわからないというのは気分の良いものではない。
それがわかったのか、彼女は納得したように頷いてから口を開いた。
「居酒屋から多賀さんを支えながらタクシーに乗り込む女性がいた…と」
居酒屋……?
あっ!!
もしかして、春香のことか!!
確かに昨日はちょっとした愚痴を言いたくて春香と飲んだが…なるほど、そう見えたのか。
だから今日、女子社員たちの態度が変だったのか。
何か言いたそうな顔をしていたのは本当に春香が彼女なのか確かめたかった…と、そんなところか。
しかし…春香が彼女とか…。
それはない。ありえない。
春香はあくまで仕事仲間。そんなふうに見たことなどない。