婚約者は高校生
そんな状況などお祖父様が知るはずもなく。



「なんだ、そんなことか!大丈夫だ、先方にはすでに連絡をとってあるからの」



…は?
すでに連絡を…とっている!?


お祖父様の言葉に思わず携帯を取り落としそうになった。



「あ、あの、お祖父様、それはどういう意味ですか!?」



「そんなに慌てなくてもいいぞ。姫紀さんの了承は得ておるからな!!」



はっはっは、と軽快な笑い声が電話の向こうで響く。


ちょっと待て。
笑い事じゃないし、慌てるなってほうがおかしい。

確か彼女は俺の睡眠を守るという条件で婚約者になったはずだろう?

それなのに、なんで一緒に出かけるという話になってるんだ!?

まあ、お祖父様は俺が条件付きで婚約者になっていることは知らないが…。なんで彼女は了承したんだ!?

予定があるとかなんとかいって断ってくれたらよかったのに!!



「チケットはあとで届けさせるからな。楽しんできなさい」



それだけ言うと、こちらの返事を待たずにプツッと電話が切られ、プー、プーと無機質な音が耳元に響く。


……なんでこんなことに。


誰もいないカフェスペースで俺は盛大なため息をついた。


睡眠というご褒美がなくなった俺がやる気を失ったのは言うまでもない。
この日の残業はいつもにも増して捗ることはなかった…。
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