魅惑な彼の策略にはまりました
悪いけれどあり得ない。ごっこだろうが、宗十郎相手に恋する気持ちになんてなれない。

お互い社会に出たての鼻垂らしてた青臭い頃から知っている。
失敗して痛い思いしたことも、仕事が軌道にのっていく過程だって見ている。
何度も愚痴(言うのは主に私。たまにリリ)を聞かせたし、誰かの仕事の成功に祝杯だって挙げたこともある。

そんな仲間である宗十郎に、今更どこをどうときめけばいいのよ。


『俺でも十分、四季をドキドキさせられる』


またしても宗十郎の言葉がよみがえる。アゴクイされた時の言葉だ。

そんな女子高生に使う手法!と思ったけれど、悔しいことに私は赤くなっていたみたい。
ああ、あれは失態。
長年、弟みたいな立場だった宗十郎にときめいただなんて。

そうだ、冷静に考えてみよう。

私は自分から恋をしたことが極端に少ないじゃないか。

そこそこの容姿とまあまあのスタイルに磨きをかけ、いい女作りに励んできた私。
男性は告白すればすぐモノになった。
『あ、この人いいかも!』と思うとアプローチして、結構な確率でゲットできた。

だから、好きな人を思って眠れぬ夜を過ごしたことも、恋する彼の仕草にドキドキなんてことも経験ない。
だって、本格的に好きになる前に彼氏になってるんだもん。
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