わたしの朝
終わりに~手紙~
真広、あなたにはたくさんのありがとうを伝えたい。
そして、たくさんのごめんねを伝えなきゃいけない。
初めて私の悩みを相談した時から、初めて私の病気を話した時から、初めて私が涙を見せた時から、あなたは特別な人だった。
なににも変えることのできない大切な人。
なのに、一番心配をかけ、一番迷惑をかけ、一番困らせ、一番つらい思いをさせてしまった。
そんな気がします。
でも、あなたを一番に想い、一番に気遣い、あなたの前で一番笑った。
それもまた事実なのです。
そして、一番愛していました。
あなたは私の生きる意味、そのものだった。
時には、ひっつき虫みたいに、うっとうしくも感じたかもしれないけど、許してね。
気づいてたの。
病気のことを話すには、高校生のあなたにはまだ荷が重かったこと。
付き合うために神を捨てたなんて言われるのも、あなたには本当は関係ないはずのことも。
進行していく病気や世間の差別的な態度を見るとき、あなたが私よりも悔しそうな目をしていたことも。
私がまだ余命宣告の渦中にいるという事実も、社会人2年目で若干19歳のあなたには重かったことも。
あなたが幼いと言ってるんじゃないわ。
誰だって、自分のことで手一杯になるものよ。
誰だって、大切な人が苦しんでいたらうろたえるものよ。
だから私は申し訳なくも、あなたの愛を感じてた。
私のために泣いてくれる人を、初めて見たわ。
あなたの不器用で精一杯の優しさを、私も不器用に精一杯受け取った。
それでよかったと、今思う。
私もがむしゃらにあなたを想ったわ。
ちゃんと届いたかしら。
もしもこれから、あなたの夢に私が出てくることがあったら、あなたにしか見せなかった飛びきりの笑顔が映し出されますように。
だって、あなたに出逢えて、こんなに幸せだったから。
あなたは幸せだったかしら。
どうかそうでありますように。
あなたに、心からのありがとうを。
花束に添えて。
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