御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
それから鈴城君は今後の説明を淡々と話し続けた。

鈴城君が考えたなれそめはこうだ。

好きになったのは自分の方で私の真面目で優しいところに心惹かれ

猛アタックして交際することになったのが1年前。

だけど少しでも一緒になりたくて入籍した・・・・・ってことらしい。

よくもま~少女漫画の様なストーリーが浮かんだもんだと感心すると

同時に私と鈴城君には全く当てはまらないストーリーだと

虚しさを感じた。

「あとさ・・・俺の呼び方だけど・・・一応のあも鈴城になったんだから
俺の事は律ってよんでよ」

「・・・・そうだったね・・・でもいきなりー」

交際日数0だけど片思い相手に呼び捨ては抵抗があるが・・・

「1年」

鈴城君が人差し指を出す。

「え?」

「さっきも言ったけど俺たちは設定上付き合って1年だから名前で呼んでくれないと」

まるで仕事のミスを指摘する様な口調だ。

「は~~」

「言ってみて?」

「・・・り・・・りつ」

言えと言われてすぐに言えたら苦労しないです。

「どもってる。もう一回」

愛情ゼロの鬼コーチ化してる鈴城君の顔はいたって真面目で

私は心の中で泣いた。

「律」

「もう一回」

「律」

「本当はもっと心がこもってるといいけど・・仕方ないか。
俺の事嫌いだしね。」

いやいやそうじゃなくて本当は

緊張してるんだよ~~!!

「とにかくしばらくの間は新婚だってことをアピールするために
仲の良さをアピールするから変な顔すんなよ」

まだ納得してない部分があるのだろう。大きく息を吐く鈴城君に

文句も言えず「わ・・わかった」と返事で精一杯だった。

しかしどんなアピールするのか

心の中の私は顔から火が出そうなほどドキドキしていた。
< 31 / 191 >

この作品をシェア

pagetop