御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中

初めてのケンカ?!

事件は日曜日に起こった。

「げーっ!」

風呂場の方から鈴城君の叫びに近い声が聞こえ、何事かと思い

慌てて顔を出した。

「どうかした?」

鈴城君はかなり不機嫌そうに洗濯用洗剤と柔軟剤を持って私の方に差し出した。

「これがどうかした?」

なくなりかけていたから金曜日の仕事帰りにドラッグストアで洗濯用洗剤と柔軟剤を

買っておいた。

「いつものと違うんだけど・・・・」

え?

「昨日、ドラッグストアに寄ったら私がいつも使ってる洗剤と柔軟剤が安かったから
買ったんだけどダメだって言うなら・・・自分で買ったら?」

私が買ったものは結婚する前まで使ってたものと同じメーカだった。

なくなりかけていたから買ってきたのに露骨に不機嫌になるし

ここまで文句を言われる筋合いがあるのかと私は顔を引きつらせる。

だが鈴城君の言い分はこうだ。

「一緒に住んでて匂いが違うのはおかしいだろ?」

いやいや・・・匂いまでチェックするとは考えにくいし

いくら何でもここまでチェックする人がいるとは到底思えない。

「だったら今回はこれを使えばいいじゃん」

感情を押し殺し、淡々と話す私に鈴城君から

「嫌だ!俺はいつものフローラルグリーンの香りがいいんだよ」

とだだをこねる子供のような返事が返ってきて私は目が点になる。

「・・・・・・・・」

完全に言葉を失ってしまった。

なぜそこまでこだわるのかもわかんないし、ここまで怒る必要もないと思うし

大体、何で私がここまで怒られなきゃいけないのよ。

鈴城君はあからさまに嫌そうな顔をしながら柔軟剤をみて

嫌味ったらしく大きなため息を吐いた。
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