恋する気持ち。
「で、なんだっけ。あぁ、俺が何者かって話だった。」


須賀は眼鏡をとる。
妖婉な瞳と、涙黒子にまた胸がドキドキしてくる。

頼むからっ!眼鏡をとるなっ!!


「俺の実家はまぁ、幅広く事業をやっていて。SYグループって知ってる?それが、俺んち。」


「え、SYって言ったら……」


日本経済を支える大財閥だ。うちも、比較的大企業だけど、それとは規模が違う。


「あんたそんな、お坊ちゃんだったの!?」


「お坊ちゃんって。その言い方傷つくな。」


須賀はソムリエが持ってきたワインに口づける。


「てかなに、酒飲んでんのよ!あんた車は?」


「あぁ。大丈夫。俺今この上に住んでるから。」


「このホテルに?」


このレストランは、ホテルに入っていて眺めのいい10階にある。
11階はバー。
12階、最上階は1泊30万のスウィートルーム。


このレストランの上って言ったら。


「スウィートルームに住んでんの!?」


「まぁ。まだアメリカから帰って来たばっかりだから。それにもう結婚するし、どうせすぐ新居買うし。」


「はぁ?アメリカ?」


『結婚』にも、ひっかかったけどとりあえずそこは流して話を先に進めよう。




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