好きにさせて
ここまでくると清々しい。
本当に清々しい。
「それにしても寒くね〜?ストーブきいてる〜?」
「今日、昨日よりマイナス8度だってぇ〜」
「うわぁ〜、これ死ぬわまぢオワタだわ〜」
そしてこの話題の変わりよう。
さすが女子高生だ。人間レベルが高い。
そんな寒い寒い言うならおまえら全員タイツでも履いて来いよ。なんでここまでして生脚を死守するのだろうか。
わたしもわたしだけど。
白くむき出しの脚をどうにか暖かくならないかと手で摩る。
廊下のほうで、ざわつきが起きた。
「え、なになに〜?」
「もう先生来た的な〜?」
「いや、違うっしょ。て、あ、あれ!!!佐倉 琴波くんなんだけど!」
は?
バッと教室の入口のほうを振り返れば確かにコトハが立っていた。わたしと目が合うとコトハは片手をあげて、ふわりと笑う。
あやつ…何しに来たんじゃ。
「きゃ〜!!!やばいやばい!ウチらの教室くるとかありえなくな〜い?」
「どうしよ、アタシ今日メイク手抜きだわ!」
きゃっきゃきゃっきゃストーブをかこう女子は騒ぎ出す。わたしは大人しくストーブにあたってる。
「てかいま、笑ったよね〜!」
「誰かに用なのかなぁ〜!あ〜やばい!カッコよすぎぃ〜!」
「………」
分かってはいたけど、すげぇうるせぇ。
コトハは教室の入口近くにいる男子生徒に声をかけると何やら話しだした。
そしてその男子生徒がわたしを見つける。
「四山〜!おまえに用あるんだってよ!」
ギクッ……。
くっそ。何の用だし。
話があるんだったら一緒に登校してる時に言えよな。まじで。