好きにさせて






「幼なじみなんだからすっぴんでフラれるわけないでしょ!」


わたしのその一声でみんなは大人しく納得した。そして。



「だとしたらもうそれ、全面的にさくらを否定してるってこと?」


「そこ、酷いこと言うんじゃない!今も普通に幼なじみしてるから、仲悪いわけじゃないから」



まさかそこまでグサッと言ってくるとは思わなかった。おめーらわたしの事が嫌いなのか?泣くぞ?



「えー、じゃあそれってすごくない?洗いざらい自分の気持ち伝えてそれで相手に知られてるうえで今も幼なじみの関係やってるんでしょ?しかもフラてはいるという!」


「やべぇな」

「やばいな」

「やばいね」


「くっ…!」


改めてそういうこと言うんじゃないっつーの!分かってるよそんなこと!!死にたくなってくるじゃんか!!!



「んでんで〜、そんなに仲いいならフラれた原因は〜?」


……それ聞くか?



「ただ単に、レベルの違いだよ」


「ふぁー?レベル〜?強さってこと〜?」


「そうじゃないわ、格の違い階級とかもうなんか別次元なの」


「漫画のキャラクター?」


「違うから!同じ人間と言っていいか分からないくらいの別格の人種なの!」


「ゴリラ?」




………どうしよ、こいつら素でこれだから困る。ボケのほうがずっとマシだ。


もうやだ、誰か助けて…。




「とりあえずさくらがレベルを名乗れるほどの者じゃないダメダメでフラれたってことでいいのね?」


「わたしに対して本当容赦ねえな」




わたしの体はキンキンに冷えてくるよ。



「あ、」


ボフッ!!




「うっそ〜!まぢ〜?寒い寒い〜」


「ありえな〜い!まぢで〜、空気読めよ〜!」



つまり、ストーブが切れた。
ピーピーっと耳につく音は灯油切れのサインだ。



「も〜誰行く〜?」


「アタシ行きたくないよ〜」


「ウチも〜」


「良いから早く誰か取り行こ〜」



みんな動く気がないので結局、わたしが行くことになる。
冷えきったコンポタを飲み干して、わたしは教室を出る。

みんなのだるそうな、いってらっしゃいがわたしの背中を押していく。







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