オフィスにラブは落ちてねぇ!! 2
ここ最近、愛美が何も言ってこない事に意地になりすぎて、今日が愛美の誕生日だった事をすっかり忘れていた。

緒川支部長は自分の不甲斐なさに頭を抱えた。

(そうだ、今日は愛美の誕生日じゃないか!!彼女の誕生日を忘れるなんてバカか、俺は?誕生日祝うどころか、結局あれから何も話してない!!)

何も言わず一人で帰ってしまったのは遠慮したからなのか、それとも愛想をつかされてしまったからなのか。

今頃愛美はどうしているだろう。

怒っているだろうか。

それとも泣いているだろうか。

今からでも愛美のところへ行こうと緒川支部長が慌て始めると、高瀬FPがまた口を開いた。

「でもまぁ、支部長も佐藤さんとよりが戻っていい感じなんでしょ?」

「なんだそれ?!」

高瀬FPの思いがけない言葉にうろたえた緒川支部長が、思わず大声をあげた。

オバサマたちはカラオケに夢中で、まったく気付いていないようだ。

「仕事中に二人でジュエリーショップに行って指輪選んでるところ、第一支部の職員が見たそうですよ。支部長と佐藤さん、第一支部ですごい噂になってます。」

緒川支部長は、あの時の事かと額を押さえてため息をついた。

「よりも戻ってないし、指輪も選んでない。同行したついでにお客さんの店に挨拶に行って、ショーケースの中を眺めてただけだ。」

慌てて否定する緒川支部長に、高瀬FPはしれっとした顔で話し続ける。

「そうなんですか?支部長と佐藤さんが仲良さそうにしてたから、僕はてっきり本当の事なんだと思ってました。じゃあ支部長の噂はガセなんですね。」

「当たり前だ。」

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