青と口笛に寄せられて


お風呂から上がって、リビングに残っている人たちに「上がりました〜」と声をかけて廊下を歩く。
髪の毛をぐるぐる巻きにして頭の上にお団子のスタイルはお風呂上がりの私の定番だ。


部屋の窓を開けて、夏の涼しい夜風に当たる。
これがまた気持ちがいいので、毎晩やっている。
北海道の夏って、本当に過ごしやすい。


部屋へ続く階段をのぼろうとしたら、リビングから政さんが出てきて私を追いかけてきた。


「あ、深雪ちゃん!待って待って」

「どうかしましたか?」


階段の一段目に掛けていた足を戻して、政さんを見上げる。
彼は誰もいない廊下をチラリと確認したあと、コソッと耳打ちしてきた。


「ちょっといいべか?外に出てもいい?」

「は、はい……」

「大丈夫、襲ったりしないから」

「あはは、冗談に聞こえないから怖いです」


と、明らかな冗談を言い合いながら、私と政さんは玄関から外へ出た。
窓を開けた時と同じ、涼しい風が全身を撫でる。
お風呂上がりにはちょうどいい扇風機みたいなものだ。


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