青と口笛に寄せられて


昨日借りたジャケットなどを一式また身につけた私は、重装備で井樋さんと外に出る。
ビュッと冷たい風が顔や体を一気に駆け抜ける。
昨日よりも格段に寒いことは明白だった。


「寒っ!」


ぶるっと震え上がっていると、井樋さんがどこからか雪かきスコップを2つ持ってきて、そのうちひとつを私に渡してきた。
受け取って、手袋をつけた両手で柄の部分をしっかり握る。


「あんたは玄関周りをかいてくれ。人が通りそうなところはすべてかくこと」

「はい!」

「返事だけは立派だよな」


指示に対して返事しただけなのに、何故か呆れられるという虚しさ。
返事だけじゃありませんから!と証明してやろうと、積もった雪にスコップを差し込んだ。
ザクッと音がして、かなりの量の雪がスコップに乗る。
これを持ち上げて……、持ち上げて…………。
持ち上がら…………ない。
けっこう重いぞーーー!


ぷるぷる小刻みによろけながらスコップをどうにか持ち上げたものの、重さに耐えきれずにドサッと半分くらい落としてしまった。


ひょいと顔の方向を変えて他の従業員たちの雪かきの姿勢を見てみる。
井樋さんと新庄さんが私と同じようなスコップで、それはそれは軽快に軽々と雪をかいていた。
駐車場のあたりでは竹下さんが家庭用除雪機を使って華麗に除雪している。


井樋さんたちの真似をして、腰を少し落としてやってみるもののコツがつかめない。
というか、ただ単に私の力が弱いだけなのか?
いやいや、そんなわけあるまい!
まだ25歳だもの!若者の部類に入るはず!
一気に出来なければ少しずつやればいい。


呑気にチマチマとスコップで進めていくことにした。


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